経営破綻は明らか
残された用地のほとんどは塩漬け土地
欠損金だけでも8億7300万円
公有地取得と土地造成事業の両方で焦げ付き
5月16日に開かれた5月会議は、「土地開発公社」の解散議案とそれに伴う予算案を全議員の賛成で可決しました。解散という節目に当たって、改めて何が問題だったのかを整理します。
町の「土地開発公社」(以下「公社」という)の債務は、保有土地の全てを売却しても債務を返済できない状態に陥っています。
6月会議に提出された24年度決算資料を見てみましょう。
資産を表す貸借対照表によると資産合計は、4億5689万3706円、この内、公有地取得事業の公用地と土地造成事業の完成用地の合計は、4億424万9564円となっています。
負債の部内容である負債合計13億2511万円の大半は、借入金です。欠損金だけで8億7321万6775円にのぼります。
公有地取得事業と土地造成事業の用地をすべて売却しても債務を解消できないのは一目瞭然です。用地の資産価値は、帳簿上4億424万円となっていますが、公有用地は、すべて町が買い戻す必要があるもので町の借金と同じです。
土地造成事業の完成用地の内、売却の可能性があるのは、柏木企業用地と柏木住宅用地程度です。ほとんどの資産は、販売のメドが立たない代物です。左が現在の保有資産の一覧表です。この表は、現時点での塩漬け土地の一覧であり、破綻を端的に表していると言っていいでしょう。
最大の損失は
妙寺北部企業団地
の事業で発生
「公社」の事業は、「公有地の拡大の推進に関する法律」に根拠をもつもので、(1)公有地の先行取得事業、(2)土地造成事業の2つに分かれます。
公有地の先行取得事業は、町の命令によって公共事業用地を先行取得するものです。バブル経済の時代は、地価が年々高騰していたので、先に用地を取得することによって購入費を安く抑えていました。
土地造成事業は、「公社」の独自事業で企業誘致や住宅開発を行うものです。
用地の先行取得と土地造成で全てが破綻した訳ではありません。公共事業の先行取得でも事業化されたものはあるし、土地造成事業でも、柿の木団地と丁ノ町住宅用地の住宅分譲、大谷と西渋田、移、名山での企業誘致などは成功しました。
土地造成事業の中で最大の事業は、妙寺北部企業用地であり、最大の事業損失はここから発生しました。この用地には現在、椎茸菌床栽培施設とあんぽ柿施設、アメニティかつらぎ、JA選果場がありますが、誘致等の事業を行って生じた損失は、9億2540万円に上ります。
「公社」の破綻処理にはすでに多額の税金がつぎ込まれてきました。
次回は、(1)破綻の原因、(2)今日までにつぎ込まれた税金、(3)解散に当たってどれだけ費用が必要なのかを明らかにしたいと思います。(つづく)