かつらぎ町土地開発公社の解散について(2)

清流

経営破綻につぎ込まれる
税金は17億3099万円超

町は破綻の原因を明らかにせず
経営責任は誰も取っていない

破綻の原因は
300万坪の
開発計画

かつらぎ町の土地開発公社(以下「公社」という)は、「公有地の拡大の推進に関する法律」に基づいて、昭和50年(1975年)に設立されました。溝端康雄氏が町長に就任する以前、「公社」が購入した用地で塩漬けになったのは、萩原前嶋用地と萩原住宅用地の2つです。それ以外の用地で、今日まで残っているものは、すべて溝端町長時代に先行取得事業と土地造成事業によって購入されたものです。
どうして、一人の町長の時代に「公社」の用地取得が集中したのでしょうか。
溝端町長は、町の人口を3万人に増やす「長期総合計画基本構想」(昭和61年)と「基本計画」(平成2年)を作り、北部地域を中心に住宅開発と企業誘致をおこなうとともに、大規模な霊園の拡張計画を実行に移そうとしました。当時この開発は、300万坪の開発構想と呼ばれました。
地価高騰を引き金にバブルが起こると用地購入に拍車がかりました。
先週、成功した事例を紹介しました。しかし、同時多発的に購入した多くの用地は、最初から困難を抱えました。中飯降の東光台団地、広浦の住宅開発など、経費をつぎ込んで立ち消えた計画もありました。
町の「公社」関係の文書には、溝端町長時代の用地購入問題を具体的に指摘しているものはありません。「バブル経済の崩壊以降は、町の厳しい財政状況による再取得の遅れ等による借入金利負担の累増と地価の下落により、帳簿価格の上昇と実勢価格とのかい離が非常に大きくなり、ますます処分が進まず土地開発公社の経営を圧迫することになりました」(「土地開発公社解散プラン」)──このような表現は、経営責任と事実経過を隠すものです。

「公社」の破綻に
つぎ込まれた税金

kousya-zeikintounyu町は、平成19年に12月に「土地開発公社健全化計画」を立て「公社」の債務超過を解決するために税金を投入するようになりました。
町が重い腰を上げたのは、平成19年6月に公布された「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」によって、「公社」の債務が地方自治体の会計に直接影響が出るようになったからです。
平成21年度、「公社」の経理基準の一部改正が行われ、完成土地等の評価替えが行われました。これによって土地の評価損が発生し、特別損失2億1373万円が生じました。また同年度に妙寺北部企業用地の売却損9億2538万円が生じ、債務超過が明るみになりました。
上の表は、健全化計画に基づいて平成19年度から平成25年度の7年間につぎ込んだ税金を表したものです。
内容は①町が買い戻した用地代(3億4999万5000円)と②町の補助金(1億8900万円)に分かれます。町の補助金というのは、債務超過になっている「公社」への損失補てんです。7年間で5億3899万5000円の税金がつぎ込まれたことになります。

町が国の起債を
利用して
解散を決意

今年の3月、町は、「土地開発公社解散プラン」を作成し、第三セクター等改革推進債(以下「第三セクター債」という)を活用して、「公社」を解散させるプランを立てました。
5月16日に開かれた議会では、「公社」を解散する議案と「第三セクター債」11億9200万円を活用する補正予算が提出され、議会は全員一致でこれらを可決しました。
「第三セクター債」は、「公社」の債務を町が代位弁済(2億5200万円)し、かつ欠損金補填(9億4000万円)を行うものです。この起債の返済は、町民が納めた税金によってまかなわれます。平成19年度からこの「第三セクター債」活用までにつぎ込まれた税金は、17億3099万円にのぼります。この金額は、25年度の町税収入の80・8%にあたります。
和歌山県内でも町の「公社」の経営実態は最もひどい状況にありました。「公社」の理事長は町長であり、町長が、反対しない理事の合意を得て用地を買いあさった結果、これだけの破綻を生み出しました。この問題を当時から破綻すると言って追及したのは日本共産党町議団だけです。
意思決定を行った理事会は、何の責任も取っていません。また、「公社」問題の破綻を町は公式には認めていません。
「住民が非常に大きな債務を負担せざるを得ないことについては、お詫び申し上げます」
これが5月議会での井本町長の答弁でした。町財政を破綻させないという点で、責任を果たしていると評価できるでしょうか。(おわり)

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