土地開発公社の借金問題(1)


なぜこうなったのか、という説明なし
借金は住民の税金で穴埋めする計画

土地開発公社の経営破たんは明白
責任を住民に転化して解決へ

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かつらぎ町の開発公社の債務(借金)はどうなっているのでしょうか。
かつらぎ町は、平成19年5月30日から6月27日にかけて町内9か所で行政懇談会を開催し、町民に対してはじめて開発公社の債務状況について、文書で次のように報告しました。
「土地開発公社は、公有地の拡大の推進に関する法律に基づいて、町の依頼を受けて行う道路・公園など公共事業に用いる土地の取得、造成、管理、処分や企業用地・住宅用地の造成、分譲を行っています。
かつらぎ町土地開発公社については、バブル経済の崩壊後、企業進出の減少や国・地方の財政状況悪化に伴う町の事業繰り延べ・見直しにより、土地の保有期間が長期化しており、その間の経費や利息の累増により非常に深刻な経営状況となっています。
土地開発公社の平成18年度末借入金残高は22億5900万円となっています。これに対して、保有している土地の実勢価格は約10億3900万円となっており、12億円を超える差額があります。金融機関からの借入に際して町は債務保証(連帯保証)をしており、この差額は土地の売却時に町が補てんしなければなりません。
町では、景気の拡大に伴う金利の上昇が予想される中で、この土地開発公社の経営健全化が、今後の財政運営における最重要課題と認識しており、次の世代に大きな負担を残さないためにも、土地開発公社保有土地の計画的な解消を目指しています。」

町が触れたくないことがある

この説明には、触れられていないことがあります。それは、①誰が公共事業による土地の取得を行い、②誰が企業用地や住宅用地の取得を行ったのか、③その政策判断は正しかったのか──ということです。
土地開発公社による公共事業の取得は、公有地取得事業と呼ばれるもので、仕事を依頼したかつらぎ町が責任をもって買い取る必要があるものです。
企業用地や住宅用地の取得は、土地開発公社の独自事業で土地造成事業と呼ばれるものです。ただし公社の理事長は、町長であったり助役が務め、公社の債務は、100%かつらぎ町が負担することを議会で決定してきたので、精算責任はすべてかつらぎ町にあります。
公有地取得事業の土地を税金ですべて買い取り、土地造成事業の用地をすべて売却しても、12億円を超える借金が残るので、「この差額は土地の売却時に町が補てんしなければなりません。」──これがかつらぎ町の説明です。町民が納めた税金で土地開発公社の借金を穴埋めしなければならない。それをしても借金が減るだけで何も生まれないということです。

借金を負担するのは私たち住民

企業が経営破たんをし、顧客や債権者にご迷惑をかければ、記者会見を開きお詫びをする姿は、テレビや新聞でよく見かけます。破たんの責任がどこにあるのか、追及も鋭いのが普通です。
しかし、かつらぎ町の場合、土地開発公社の経営破たんについて、町民に対する説明もなければ、お詫びもありません。
経営破たんを引き起こしても、誰も責任をとらないし、経営破たんの原因も明らかにしない。自分の口からは、絶対に積極的に説明しない。──これがかつらぎ町の土地開発公社の問題に対する基本的なスタンスです。
12億円の債務の穴埋めという形で土地開発公社の破たんに責任を負うのは、私たち住民です。
かつらぎ町は、19年の行政懇談会で土地開発公社の債務についての説明責任を果たしたとして、税金による土地の買い取りと販売を本格化しました。あれからもうすぐ3年が経ちます。破たんの穴埋めはどうなったのか、次回は現在の計画を紹介します。

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