国民健康保険事業特別会計決算反対討論
2010年12月20日月曜日
日本共産党町議団を代表して、平成21年度かつらぎ町国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算に対する反対討論をおこないます。反対の最大の理由は、国民健康保険税を11%も値上げし、一人当たりの国保税が9万1230円になったことです。40歳以上の夫婦2人、子ども2人の4人世帯で給与収入300万円、固定資産税10万円というモデルケースの場合、本町の国民健康保険税は40万円を超えてしまいます。40万円を超える負担は、所得ベースでいえば、20%を超えるものです。
なぜこんなに国保税は高いのでしょうか。国保税は、所得割について、全国の98%の自治体が旧但し書き方式を採用し、低所得者に対しても所得割がかかる仕組みをつくってきました。また、本町では資産があれば、医療分で固定資産税の38%、介護分で10%、支援分で11%の負担がかかります。世帯平等割と個人均等割の負担は、世帯と個人に対し一律にかかる負担であり、1人世帯でさえ7万1330円もの負担となります。現在の保険税の現状は、住民の負担の限界を超えています。
以上の仕組みによって、軽減を受けられない低所得の世帯には、極めて高額な国保税がのしかかります。
国保税が高くなったことによって、収納率は現年分で90.8%、滞納分は16.1%となり、収納率全体では71.4%まで落ち込みました。収納率が年々低下している事実は、この保険制度がすでに壊れはじめていることを物語っています。
国民健康保険事業は、国が責任をもって維持すべき国民皆保険制度の最も土台をなす医療保険制度です。しかし、国庫負担を削減した結果、国民健康保険税はどんどん高くなってきました。負担が増大する一方で国は、滞納者に対し資格証明書と短期保険証の発行を義務化しました。その結果、国民が医療にかかれず、死亡する事態まで引き起こしています。
この保険制度をどうしていくのか。国民健康保険事業は、根本的な岐路に立たされています。ところが、国が打ちだしたのは国保の広域化です。これは、負担と給付を直結させ、医療費が増大すれば国保税を値上げする仕組みをつくるものであり、市町村独自の減免制度などを壊すとともに、収納率の低い自治体にはペナルティーなどを科して、過酷な徴収をすすめるところに狙いがあります。また国保の広域化は、医療保険制度を将来的には一元化し、企業負担を軽減する大改悪への一里塚だといわなければなりません。
国民健康保険法は、第1条で「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と規定し、国民健康保険事業が社会保障であり、かつ国民保健の向上に寄与することを宣言しています。大事なのは、この原点に立ち返って、国民健康保険事業を本来の姿に立ち返らせることです。そのためには、国庫負担を引き上げて、国民の負担を軽減することがどうしても必要です。
国がこの責任を果たさないのであれば、市町村が法律の精神に立ち返って、国保税の負担軽減を実行することが求められます。
以上のことを指摘して、私の反対討論といたします。