負担軽減へ──問われる町当局の姿勢


介護保険料は5000円を超える ─── 負担は限界
一般会計からの繰り入れと低所得者への減免制度で
保険料の抑制を(下)

介護保険料問題は、介護保険11年の今日、「出口のない」深刻な事態を迎えています。厚労省は、「このままでは第5期保険料の全国平均基準月額は、5000円を超える見込み」(7月11日第5期介護保険事業〔支援〕の策定に係る全国会議)としています。

高齢者負担は限界

介護保険は、半分が税金、半分が保険料でまかなわれています。保険料分(50%)は、人口構成を踏まえ、65歳以上が20%、40歳〜64歳が30%を負担しています。(図1)。
高齢化が進み介護サービス利用者が増えたり、介護サービスや施設整備の充実を進めると、それに比例して介護保険料が高くなります。自治体は、このジレンマの中で身動きが取れない事態に陥っています。
一方、65歳以上の高齢者の中で、8割以上の人は、1円も介護サービスを受けていません。多くの人にとって、介護保険は「掛け捨て」の保険のような状態です。
実際には、サービスを利用しないのに、少ない年金の中から天引きされる高い保険料に対し、「これ以上の負担は無理」という声は圧倒的です。高齢者一人当たりの月額基準額が5000円以上になるともう限界だといわれています。

公費負担を増やすしかない

介護保険の公費負担は5割。この負担割合に対し、制度当初から公費負担が低すぎるという指摘がありました。自公政権末期に国は、「介護職員処遇改善臨時特例交付金」制度(2009年度〜2011年度)を導入しました。これは、劣悪な介護の現場の職員給与を改善するために行われたものです。
職員給を引き上げるために介護報酬は、3%引き上げられました(1人あたり1・5万円相当)。これをそのまま実施すると保険料が跳ね上がるので、国は引き上げた3%の半分を国庫負担にして、別枠で補填するという措置を取りました。
これによって、国の実質的な負担は、57%〜58%になっています。これは、5割の国庫負担では会計が成り立たないことを意味します。臨時的措置で別枠扱いしているところに国のかたくなな姿勢が現れています。

「財政安定化基金」の取り崩しだけ

今回の法改定では、公費負担を増やさず、「財政安定化基金」の取り崩しを条文化しました。しかもこの基金の取り崩しは、2012年度限りです。

9月議会では、宮井健次議員が一般質問で介護保険の改定問題を取り上げました。「財政安定化基金」についてのやり取りを紹介します。

問 現在4900円の保険料(全国平均は4160円)は、財政安定化基金を取り崩すと、どれ位の保険料抑制につながるのか。
やすらぎ対策課長 本町は、2400万円拠出しておりますが、1000万円取り崩して保険料に充てたとしても、一人50円程度の抑制にしかなりません。
問 ①一般会計からの繰り入れ、②低所得者に対する減免制度、この仕組みづくりを「作成委員会」の中できちんと位置づけ、保険料の抑制をすべきです。

(注)財政安定化基金
都道府県に設置されている基金で、国、都道府県、市町村が3分の1づつ拠出しています。介護保険財政に不足が生じる場合、市町村に貸付・交付されます。

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