2011年度予算編制に対する要望書
2011年1月12日
はじめに
貴職におかれましては、ますますご清栄のことと存じます。
大企業は、08年秋のリーマン・ショック前の経常経費をほぼ回復しています。しかし、その一方で国民の暮らしは厳しさが続いています。失業率は5%あり失業者は300万人を超え、1年以上の長期失業が128万人に膨らんでいます。雇用確保が最大の国民的な課題ですが、改善される見通しは立っていません。民間給与の減少に歯止めがかからず、年収200万円以下の労働者が増えて全体の4分の1を占め、貧困の広がりもますます深刻になっています。
地域経済では、農業の衰退傾向が顕著になり、中小商工業も減少の一途をたどっています。経済の縮小傾向とかつらぎ町の人口減少は深くつながっています。
雇用を確保し暮らしを守るとともに、地域経済の活性化めざして、農業、中小商工業の振興に自治体として全力を尽くす必要があり、住み続けられる町として、福祉や医療、教育の分野の充実が求められます。国の「きめ細かな交付金」や「住民生活に光を注ぐ交付金」の活用でも、このような観点が貫かれて具体化されることを切望します。
国の政治が、社会保障制度の改悪や国民への負担増を当然視し、派遣労働の原則禁止にも背を向け、法人税の5%減税は行う一方で、国民には消費税増税を押し付けようとしています。さらにTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に道をひらき、農業が破壊されてもかまわないという態度さえとりつつあります。
かつらぎ町は、自主的自覚的精神を発揮して、事態に立ち向かわなければなりません。本町が打ちだしている協働のまちづくりは、住民と行政が力を合わせて活路を切り拓く努力そのものです。
日本共産党町議団は、以上のような認識に立って、以下、予算要望をおこなうものです。
1 町民が主人公の協働の町づくりのために
- 協働のまちづくりを軌道にのせるため、「協働のまちづくり課」(仮称)を設置されたい。
- 世界遺産に登録された町にふさわしい観光と農業を組み合わせた町づくりを研究されたい。そのためにも、物産販売所と農産物加工所などの実現を図られたい。
- 遊休農地の活用を視野に入れて本町へのUJIターンを促進されたい。そのために、空き家の有効活用、移住者へのサポート体制などを整えられたい。
- 低所得者や生活困窮者に対し、町独自の無利子の生活つなぎ融資制度を実現されたい。
- 中小企業や地場産業の実態を踏まえ、自治体支援のあり方を示す「地域経済振興条例」の制定をめざされたい。
- 柿などの農産物の価格保障制度を国・県に働きかけるとともに町独自の施策を設けられたい。
- 紀北分院を核とした保健・福祉・医療を充実させ、「ウエルネスタウンかつらぎ」(仮称)をめざす町づくりを研究されたい。
- 各種団体の補助金を機械的に削減することがないようにされたい。
- 機構改革については、課・室の統廃合だけではなく、チーム制の導入などで連携が図れるよう研究されたい。
- 和歌山大学と協定を結び、まちづくり、まちおこしに知恵を発揮してもらうとともに、大学による市民講座などの開設で町民に学習機会を提供するとともに自治体職員の育成をめざされたい。 2 防災に強いまちづくりのために
- 南海・東南海地震の対策の中の緊急対策に老人や障害者などの避難マニュアルを組み入れるとともに、受け入れ施設として、民間福祉施設との間で使用協定を結ばれたい。
- 広域消防優先を改め、伊都消防本部が定めている「消防力の基準」を満たすよう人員を配置されたい。
- 地震などの緊急時の協力体制を広域で検討されたい。
- 緊急通報を全町におこなうために防災行政無線を設置されたい。
- 子どもに対する防災教育を低年齢の時期からおこない、充実を図られたい。
3 福祉・医療の向上めざして
- 医大紀北分院を地域医療の要として位置づけ、地域連携を図るために町と病院、住民の3者で「地域医療協議会」(仮称)を立ち上げられたい。
- 国保の広域化に反対し、国庫負担金を元の50%に戻すよう国に働きかけられたい。
- 県に国保への助成制度を拡充するように働きかけられたい。
- 国保被保険者への資格証明書は、被保険者の実態を把握し、発行しないよう努力されたい。
- 子育て支援並びに町活性化の施策の一つとして、乳幼児医療費の無料化をせめて中学校卒業まで引き上げられたい。
- 子宮頸がんワクチンへの公費助成及び不妊治療への町独自助成を導入していただきたい。
- 日中一時支援については制度を充実し、障がい者に対する訪問看護については、負担の軽減を図られたい。
- 外出支援サービスは、適用基準の枠を拡大し、医療機関や買い物先への移送を実現されたい。
- 車イスでも利用できるバス、電車等の運行を各関係機関に働きかけるとともに、車イスが通行しにくい歩道(国道・県道・町道)について早急に調査し、改善をはかられたい。
- 福祉タクシー制度を充実させ、タクシー券とガソリン券のいずれかを選択できるようにされたい。
- 社会福祉士の資格をもった職員を雇用し、困っている住民が公的施策にアクセスできるところまでサポートできる体制を整えられたい。
- お年寄りの行動範囲を広げられるようになるので、コミュニティバスにシルバーパス制度を導入されたい。
- 紙おむつや日常生活用具の給付の条件枠を拡充されたい。
- すべての保育所で0歳児保育・延長保育・一時保育を実施し、保育サービスを充実されたい。
- 保育料の決定は、使用料にあたると思われるので、条例化されたい。
- 幼保一元化については、就学前の教育だという観点を貫き、教育委員会を軸に進められたい。
- 必要な保育士の確保をおこなうとともに、安すぎる臨時的任用職員の賃金については、さらに引き上げられたい。
- 下水道事業の導入によって、住民の負担が増えるので、水道料金は、基本料金及び超過料金の単価をさらに引き下げるとともに、一人暮らし老人及び老人世帯の水道料金に軽減制度を導入されたい。
- 介護保険料の減免制度の内容を充実し、低所得者の負担を軽減されたい。
- 介護保険利用料については、町独自の軽減制度を導入されたい。
- 町独自の住宅リホーム助成制度をつくり、地域経済の振興に寄与されたい。
- シルバーハウジングをつくるとともに、民家の改造などによってふれあいサロン(仮称)等を実現されたい。
- 寝たきり老人介護扶助制度を見直し、介護手当への発展を図り、金額を引き上げられたい。
- 成年後見人制度の積極的活用で老後も安心して生活がおくれるよう支援されたい。
4 住環境、くらし、文化、生活の向上を
- コミュニティーバスの運営を改善するとともに、かつらぎ霊園を通過するよう改善されたい。
- 買い物難民の実態調査を行い、商工会などと協力して早急に救済策を講じられたい。
- 妙寺マルエス前交差点、妙寺県信のJR踏切、笠田駅東の踏切及び交差点など、交通安全上、危険度が高いところについては、改良されたい。
- 防犯灯の設置補助金を増額されたい。電気代についても補助制度を導入されたい。
- スポーツ施設や文化施設の貸し出しは、料金支払の形態を改善するなど簡素化されたい。
- 市街化する計画のたたない山間部に都市計画税をかけることは、目的税の主旨に反しているので廃止されたい。
- ごみ収集手数料の徴収は、野焼きによるダイオキシンの発生につながるので無料化されたい。
- 広域のごみ処理については、広域組合が焼却施設及びリサイクルセンターの管理運営に直接責任を負えるよう、民間委託の形態を研究されたい。
- 繊維くずについては、旧橋本市、かつらぎ町、九度山町の事業所も搬入できるよう働きかけられたい。
- 各種の使用料、手数料は引き上げないでいただきたい。
- 職員の超過勤務については、実態をふまえたものにされたい。また代休をとるよう指導するのは、労基法に反するのでやめられたい。
- 有害鳥獣捕獲事業等補助金を増額するとともに、有効な対策を講じられたい。
- 三谷橋の拡幅と県道和歌山橋本線(山崎──寺尾間)を追い越し禁止区間にするよう県に働きかけられたい。
- 笠田小学校の正門への進入路(通学路)を新たに設置していただきたい。
5 民主主義の前進のために
- 憲法9条を守り憲法改悪に反対されたい。
- 情報公開は、協働のまちづくりの基礎になるので、意思形成過程の情報も積極的に開示し、住民とともにまちづくりをおこなうよう改善を図られたい。
- 補助金を交付している団体による報告書も公開の対象にするとともに、公民館などには、行政資料や議会資料をおき、閲覧・コピーができるようにされたい。
- 町政モニターは、①男女を構成員にすること、②公募方式も採用すること、③町政全体について把握できるよう改善すること、④課題の設定とレポートの提出することなど、改善されたい。
- 町の付属機関や審議会の構成から議会議員をはずすとともに、特定の個人や団体に偏重しないようにつとめ、住民代表、女性代表などを増やし、年齢別、階層別にバランスのとれたものにされたい。
- 議場にテレビカメラを設置し、窓口などで放映している自治体が増加している。議会の状況を庁内で見られるよう改善されたい。
- 現行の町長の資産公開条例の対象を副町長及び議員に広げられたい。「政治倫理条例」については、審査会の設置、住民の審査請求権、政治倫理の基準(企業・団体献金の禁止を含む)などを明記したものに改正されたい。
6 教育行政の充実めざして
- 図書館に平和図書のコーナーを設置するとともに、非核平和に関する資料収集をすすめられたい。
- 教育委員会の独立性と自主性を一層徹底するために、教育委員の準公選制導入を検討されたい。
- 子どもの権利条約が実際に生かされるために、この条約を町づくりの基本にすえるとともに、この条約が生かされる学校づくりを目指されたい。
- 学習指導要領はミニマムスタンダードであるので、地域と学校の自主性を保障して、学習内容やカリキュラムの自主編成ができるよう条件を整備されたい。
- 日の丸・君が代が「国旗」「国歌」となったが、教育現場への押しつけは、憲法が保障する内心の自由を侵すことになるので、あらためられたい。
- 日の丸の毎日の掲揚を教育現場に押つけることは、学習指導要領にも規定がないので、ただちにやめられたい。
- 住民の自発的な意志にもとづき学校内に「地域本部」を設置し、学校の図書室の改善や環境整備、グラウンドの芝生化と管理などが実現されるよう努力されたい。
- 学校図書の予算増額を図るとともに兼任でない司書を配置されたい。学校の図書室を地域に開放し、町立図書館の本の検索と貸し出しなども実現されたい。
- 学校給食の民間委託は、やむを得ない措置とし、教育委員会の計画にもとづいてすみやかに公設公営への移行を図られたい。
- 高校進学希望者が全員入学できるように募集定員をあらためるよう、県に働きかけられたい。
- 町独自に低所得者のための高校、大学奨学金制度を実施されたい。
- 各学校で何が父母負担になっているのかを調査し、父母負担の解消をめざされたい。
- 町内の私立幼稚園にも町の幼稚園と同じようにさまざまな情報を伝えるとともに、行政がおこなっている子ども向けの行事に参加できるよう案内をおこなわれたい。
- 公立幼稚園で預かり保育を実施し、緊急時に生じる保育にかける状況に対応できるようにされたい。
- 小学校の統廃合は、住民合意が何よりも大切なので、合意形成を事業推進の基本にすえられたい。
- 小学校の統廃合によって、山間部の教育条件は大きく後退せざるをえない。より良い教育の実施が求められているので、町独自の35人学級等を実施し、少人数学級に基礎をおいたゆき届いた教育条件をつくられたい。
- 全国学力テストは、より一層競争を組織するものにしかならず、教育上弊害が多いので不参加という態度をとられたい。
- 小・中学生が通学に利用するバスについては、統廃合をまたずに料金を無料にしていただきたい。