かつらぎ町長選挙の結果について


かつらぎ町長選挙の結果について——新町長に望む

2019年9月25日 日本共産党かつらぎ町議団

9月22日投票で8年ぶりにたたかわれた町長選挙では、現職の井本泰造町長と新人の中阪雅則氏の2人が立候補し、中阪氏が382票の僅差で勝利しました。
当選した中阪氏は、元海南市職員だったので、平成以降4代続けて地方自治体職員という経歴をもった町長の誕生となりました。
両候補の公約を見ると、それぞれ町政に関する諸課題を書いていますが、どちらも安倍政権が推進している憲法改正や消費税増税、社会保障(国民健康保険、介護保険、年金等)の削減などについて、自らの見解を全く明らかにしていません。これらは国政の課題ではありますが、避けて通れるものではなく、町民の生活に深く関わっているものでもあります。国政の課題を避けると政治信条が明らかにになりません。これでは、憲法による地方自治の本旨と地方自治法によって明記されている「住民の福祉の増進」という根本姿勢が不明瞭になってしまいます。日本共産党かつらぎ町議団(宮井健次、東芝弘明)は、この点を重視し、日本共産党としては、いずれの候補者についても支持はできないということで、自主投票の立場を貫きました。

その上に立って、新町長の掲げた公約の中で気になったことを述べておきます。
「行政はサービス業である」との認識を強く持つように職員に求めています。しかし、地方公務員は全体の奉仕者なので、行政はサービス業というのは疑問です。
財政状況の厳しい中で副町長を置かないで徹底的に無駄な支出を抑えると言っていますが、副町長を置かないことによって、トップダウンの町政になってしまわないでしょうか。
防災無線や危機管理課(室)、福祉有償運送、コミュニティバスの見直し等、いくつか積極的な公約があります。これらの問題の中には、職員の増員と財源が必要なものがありますが、現時点では財源が明確になっていません。
「かつらぎ町は夕張みたいになる」という意見が少なくない町民から出されていました。しかし、本町はそういう状況にはありません。この点をどう考えているのでしょうか。
団塊の世代が高齢化し始め、今後さらに人口減少にさらに拍車がかかることが目に見えています。「人口2万人計画」の実現は本当に現実的なものなのでしょうか。

以上、5点に渡って指摘しました。
本町の第4次長期総合計画(後期)が打ち出した方向は、かつらぎ町の現状を踏まえたものであり、住民の代表によって多角的に議論が積み重ねられ、議会でも十分な議論が重ねられて全員一致で可決されたものです。この長期総合計画の示している方向に沿うと、まちづくりの方向に違いは出てきません。今回の町長選挙で両候補の間に対決点がなかった背景には、現状から導き出される方向には違いがないことを反映しているからです。長期総合計画が示した方向を理解し、この方向に基づいて町政を発展させることを望みます。
かつらぎ町議会は、二元代表制のもとで通年議会を実施し、議会基本条例を制定し、委員会活動を強めて政策課題の熟議を踏まえ、提言や決議を重ねてきました。中阪新町長が、議会改革の動きを理解し、議会制民主主義を守ることを期待いたします。

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