土地開発公社の借金問題(2)


バブル経済のとき乱脈の頂点に
破たんは人災、政治の責任は重い
巨額の売却損が発生──町の基金で穴埋めへ

かつらぎ町は、土地開発公社の「経営健全化計画」を策定しています。この計画は、平成18年度から28年度の10年間で保有している土地を処分しながら借金を縮小するものです。22年12月には簿価の見直しにもとづいて当初の計画を改訂しています。この計画にもとづいて、土地開発公社の借金問題を見てみましょう。

バブル経済の時代に乱脈の極みに達する

かつらぎ町の土地開発公社の焦げ付いた用地問題は、萩原住宅用地と前嶋住宅用地の2件だけでした。
これ以外の問題のすべては、バブル経済の最中、溝端町長時代に起こりました。
公有地取得事業では、土地開発公社に用地を取得させながら、道路敷しか買い上げない、大規模な霊園用地を購入する、代替え用地を購入し焦げ付かせる、住宅開発のマスタープランの費用を不正に支出するなど異常な事業展開が行われました。
さらに溝端町長は、公社の独自事業である土地造成事業に乗り出しました。行った事業は企業誘致及び住宅開発で、用地取得と造成が行われました。
住宅用地では、柿の木団地、丁ノ町住宅用地で分譲に成功し、企業誘致では、大谷、西渋田、移、名山など連続して誘致を成功させました。
これらの成功が、土地を次々に購入し破たんを引き起こす引き金となりました。
最も規模が大きかったのは「妙寺北部企業団地」です。この企業団地には、椎茸菌床栽培施設、あんぽ柿生産施設の建設が行われるとともに、造成後、「アメニティかつらぎ」、JA紀北川上農協への売却が行われました。その結果、この関係だけで9億2540万円の売却損が発生しました。

繰越損失10億円──税金投入による解決へ

上の表は、19年度から22年度の保有土地の処分状況を公有地取得事業と土地造成事業に分けて表したものです。ここに妙寺北部企業団地(A区画)の売却が含まれています。
公有地取得事業で売却損が発生しないのは、土地の購入価格に金融機関の利息をプラスして町が買い戻さなければならないからです。これは、税金投入による土地の買い戻しですが、ほとんど事業化できないところに特徴があります。
この4年間で売却損の合計は9億7110万円にのぼりました。平成22年12月の簿価の見直しで約2億1400万円の評価損も発生しました。
平成22年度末の繰越損失は、10億1233万1000円になる見通しです。
下欄に図を書きました。これは平成22年度までの土地開発公社の2つの事業がどのような結果を引き起こしたのかを表したものです。経営破たんは明白です。
23年度以降の「経営健全化計画」は、(1)如何にしてこの繰越損失を縮小していくのか、(2)如何にして保有土地を処分するのかという2つの柱で進められます。
次回は、今後の計画を見ていきます。

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