住民の代表である議員の一員として、平成28年度花園守口ふるさと村運営事業特別会計歳入歳出決算に対する反対討論を行います。
11月27日、議員全員協議会で花園守口ふるさと村に勤務する職員が公金を横領した事件について報告がありました。報告によると職員の横領は、平成17年頃から行われていたということです。職員の供述どおりであれば、横領を行っていた期間は12年間に及ぶことになります。
決算委員会は、11月2日に花園地域振興課に対し質疑を行い、11月9日の午前中には町長に対する質疑を行いました。町が守口市に対し事件を報告したのは、11月9日です。決算委員会が委員会で守口ふるさと村の運営事業会計の決算認定を行ったのは、11月16日です。一連の経緯を見れば、町当局が決算委員会に対し会計に対する不正があったことを報告する機会は十分にありました。
この事件を決算委員会に報告しなかった町当局の責任は極めて重大であり、議会の審査を軽視したものだといわなければなりません。
今回の不正は、宿泊客を過小に報告したり、仕出し弁当の収入を着服したところに問題の中心があります。書類を改ざんし、辻褄を合わせたとしても、食材料費の仕入れについての決済は、花園支所で行われていたので、客数と食材料費の支出という点に食い違いが発生し、矛盾が生じていたはずです。
宿泊施設などの事業は、民間が行っている商業活動と同じものであり、宿泊代や食事代の収入は、施設の維持管理費や人件費、食材料費の関係で採算を計算して成り立っているものです。宿泊事業を経営の観点でチェックしていれば、職員の横領はもっと早く明らかになっていたのは間違いありません。
決算委員として反省をしなければならないのは、宿泊客の人数を示す資料に対し、チェックする目を持たなかったということです。決算委員会に提出された資料は、平成24年度から平成28年度の過去5年間の宿泊客数を記録しています。あらためて見直すと、平成26年の6月の杉の子・民家の宿泊客が0人、コテージの宿泊客4人でわずか合計4人の宿泊しかなかったことになっています。しかし、この年度の6月から9月までのピーク時の宿泊客は、平成24年度から28年度の5年間で2番目を記録しています。6月の宿泊客が4人というのは、極端に少ないと思われます。平成26年度は、ふるさとセンターが改修前の最後の年度にあたり、こちらの施設の6月の宿泊客は、過去3年間の中で最高を記録しています。
花園守口ふるさと村は、毎年約1000万円の赤字であり、かつらぎ町が300万円を、守口市が700万円を負担してきました。平成24年から28年までの5年間の客数は、1265人から2178人と913人もの差があり、仕出し弁当の注文もかなりあります。これだけ客数に差があっても、ほぼ同じような赤字の補てんがあるというのは、辻褄が合いません。このような会計の組み立てというのは一体何なのか、施設の使用料金の基本設定を組み立て直し、メスを入れる必要があります。
宿泊客数や仕出し弁当の数がどのように変化しても、収支トントン、赤字にも黒字にもならない、人件費等はかつらぎ町と守口市が負担するというのが、基本的な事業設計になっているとすれば、これ自体が大問題です。もしこのような設計になっているとすれば、それは不正の温床になる事業設計だといわなければなりません。
証拠書類が廃棄され、公金の横領がどれだけの規模で行われていたのか定かではないということですが、宿泊客数と仕入れの支払いとの関係だけでも、精査すればかなり本質に迫れると思います。
平成28年度決算には、宿泊客の人数を過小に報告し、収入を誤魔化して公金を横領したことが含まれている決算である可能性はかなり高いと言わなければなりません。決算的には歳入と歳出が一致しているという意見もありますが、それは、赤字の7割を守口市が負担し、残りの3割をかつらぎ町が負担しているからに他なりません。事件は、この赤字補てんの仕組みにつけ込んだ上での公金横領だったということです。
夕張市が財政破たんしたときに、市が会計の赤字を誤魔化していたことが大問題になりました。議員が誤魔化しを見抜けなかった点が問われました。
議会の最大の仕事は、住民の代表として行政の仕事と会計をチェックするところにあります。議会は住民に対してチェック機関としての役割を担わなければなりません。したがって、平成28年度の決算を認定することはできません。事件の発覚と経過を決算委員会に報告する時間があったにもかかわらず、報告しなかった町の姿勢を容認することもできません。
私は決算委員会の委員として、委員会では花園守口ふるさと村の会計決算に賛成し、認定するという態度を取ったことを恥ずかしく思っています。委員会で賛成し本会議で反対することによって、議員としての責任を果たそうとするものです。
今後、花園守口ふるさと村の会計は、商業活動として、宿泊料と飲食代、仕出し弁当代などの収入と、食材料の仕入れ及び人件費、施設の維持管理費等の支出との関係で、会計を管理するよう改めるべきです。監査も、この観点を基本におけば、不正を見抜けるようになると思われます。改善のためには、税理士か会計士の力を借り、会計管理の方式を変更する必要があります。このことを最後に訴えて私の反対討論といたします。