国保税 4年で3回も値上げ


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2010年11月(平成22年9月議会報告) No.102

国民健康保険の“広域化”は
“保険料アップがいやなら診療抑制”を町民に迫るもの
国保の広域化は何をもたらすのか?── 市町村の役割を放棄するもの

後期高齢者医療制度の見直しが議論されています。この議論を通じて浮上しているのが、国民健康保険(以下「国保」)の広域化です。厚生労働省国保課長は、7月16日、静岡市の講演で「今回の高齢者医療制度改革は、市町村国保の広域化を進めるための大きなチャンスだ」とまで言い切っています。
この問題で全国の先進を切って〝広域化〟を進めようとしているのは大阪府です。
府と市町村代表との協議では、①市町村としては一般会計から国保会計への繰り入れをやめたい。自治体の条例減免も負担になっている②府知事がリーダーシップをとって広域化すれば、保険料が上がる自治体も文句をいわないはず③各市町村の累積赤字をそれぞれの自治体が解消しなければ広域化は進まない④府内統一保険料の設定は、国保法改正を待たなくてもできるので先行して進める⑤一般会計の繰り入れ・減免などで保険料試算を年内に行う──などが話し合われています。この協議は〝広域化〟のねらいを分かりやすく示していると思います。

かつらぎ町の実態

国保の保険税は、市町村ごとに違います。どの自治体でも、高い国保税のよって滞納者が増え、税収が落ちることによって、さらに国保税が上がるという悪循環に陥っています。かつらぎ町の場合、どうなっているのかみてみると──。
徴収率(左グラフ1)は、町民税と比較すると年々下がり、70%台に落ち込んでいます。滞納者には、短期保険証や資格証明書が発行されます。これらの交付世帯は10年間で1・5倍に増加しています(右下図1)。
かつらぎ町は、2006、2007年の2年間連続国保税を値上げしました。町当局は、1年据え置いたあと、2009、2010年も2年間連続値上げを行う方針を打ち出しました。2009年の値上げの結果、2010年度は4人家族で年間所得200万円、固定資産税10万円のケースで43万円という国保税になりました。2009年12月、国保税の連続値上げの中止を求める請願署名が議会で採択され、2010年度の値上げはストップしました。
4年間で3回も増税された国保税──この背景には、国が国庫支出金を減らしてきた問題があります。1984年時では、国庫支出金の割合は、国保会計全体の50%を占めていましたが、2008年では半減し、約24%になっています。
国保は低所得者の加入者や退職した高齢者が多いのが現状です。社会保険のように事業主負担がないので、国が責任をもって支える必要があります。国民にいつでも受診できる医療を保障するために国庫負担を元に戻すことが必要です。
国庫負担問題を解決しない〝広域化〟は、弱者同士の痛みの分かち合いにしかすぎません。

医療費削減迫る

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国保広域化の主な狙いは、一般会計からの繰り入れをなくして医療費増加と保険税上昇を直結させる仕組みをつくることですが、この仕組みは、後期高齢者医療制度で導入されたものです。これは「保険料アップがいやなら診療抑制」を国民に押し付けるものです。
さらに民主党政権は、将来、サラリーマンが加入している被用者保険を国保と結合し、都道府県単位の地域保険に「一元化」する方針をもっています。
国保の広域化は、市町村が担っている住民の命を守る仕事を放棄させることにつながります。
かつらぎ町当局がいますべきことは、町民の命を守るために、県と国に対して、国民医療を守る責任を果たすよう求めることです。

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